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■【世界観】   ■【登場人物】       ■【その他】   ◆新着記事◆

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愛のメッセージ9

たったひとことのキモチが、あなたに言えない。

いままでの関係がこわれてしまうかとおもうと、こわくて

でも、

あなたが誰かにとられちゃうのはもっとイヤ!

後悔するのは嫌だから・・・

たとえどんな結果になったとしても

なかよしでいてくれるって信じてるから

勇気をだしてつたえたの



「あなたのことが、大好きです」


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愛のメッセージ8

あんたなんか産まなきゃよかった!!

こんなにつらいおもいをさせるなら・・・

産んで、ごめんね・・・。



ううん、

お母さん、

わたし・・・



「生まれてきて、よかった・・・」


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3人集合!



クリックしてね★



過去にブログのトップページに飾っていたイラストです★

左から、【ナイト】【ミュウ】【メアリ】です(=^・^=)

サイズ大きすぎて小さくしないと載せられなかったよぉ;;画像クリックすると拡大して見れます。
でも、見てもなにも良いことはないんだよ。。。;;

見たい人だけ見てね(笑)

この頃はまだペンタブ持ってなくて、ペンと色鉛筆で描いています。
ひどい絵だけど、ガンバって描きました。懐かしい☆彡


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愛のメッセージ7

このせかいはまっくらでよごれている。

むかしボクはそうおもっていた

キミとであってはじめてきづいた

よごれていたのはこのせかいじゃない、ボクじしんだということに・・・



ひとをキズつけないように

キズつかないようにキモチおさえてたら

ほんとうのじぶんがわからなくなってしまった。

おかしたつみはきえることはない

かなしみもいえないままで・・・



死にたいってさけんで、なみだがあふれてくるのは

こころのおくではだれよりも、生きたいってねがっているから。

うまれたいみをもとめるよりも

いまここにいることをかんじたい。



それでもいままであるいてきたみちは、けっしてムダなんかじゃないよ

だってそれがいまのじぶんをつくりだしているのだから。

カコをかなしむより、いまをせいいっぱい生きよう。

このいっしゅんはいましかないのだから

こうかいだけはしないように・・・



キミはいつもだれかのために、なくんだね。

むかし、じゅんすいでまっしろだったこころ

もういちどあるいていこうって

つよくそうおもったよ



つめたいことばにきづつくこともあるけれど

それにまけないくらいあたたかいきもちをしっているから。

ひとはだれもいたみをかかえて

ボクだけがかなしいわけじゃないんだ



キミがおしえてくれたこと。

このきもちのいみもわからないけれど、

キミはこのせかいでかけがえのないたいせつなひと。

こんどはボクがわらわせてあげたいな・・・




「キミに、出逢えてよかった・・・」


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愛のメッセージ6

「せかいじゅうのひとが、えがおになりますように・・・」

わたしはきょうも、いのっています。

バカみたい?わらわれることもあるけれど

かなうことはないのかもしれないって

ふあんがこころのどこかでにげまどうこともあるけれど、

だけどね、それがわたしにとってせかいでいちばんのねがいごと。



もし、あなたのこころがまっくらなやみのなかにおちて

めのまえがみえなくなってしまったとしても

わたしがちいさなこころのあかりともしてあなたのあしもとをてらすから・・・

ひとりぼっちだなんて、なかないで

ほんのすこしだけでもいい

かおをあげて、あたりをみわたしてみて。

ほら、こんなにもちかくでだれかがわらっているでしょう?



わたしはいつでもここに、あなたのそばにいるから

だからあんしんして。

あなたはあなたのおもうみちをあるいていってね。



それでも、かなしみのよるはおとずれてしまうから

そんなときは、ここにきてね

わたしはいつでもえがおでまっています。



「あなたがいつも幸せでありますように・・・」





【このブログを見に来てくださっている、すべてのみなさんへ】

――美羽より。


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ヴァンプ★メアリ




【メアリード・ハイヴェルダルク・ウォン・シュヴァンシュタインⅩⅣ世】通称・メアリ。



呪いで黒いうさぎのぬいぐるみの姿にされ、人間界に堕とされた元悪魔。

ミュウへの想いから不完全な状態で呪いが解け、人間のような姿でいられるようになった。

怖く見られがちだが、意外と紳士?らしい。照れ屋な一面もあり。

よくナイトにからかわれているが、実際はあまり相手にしていない。

ナイトとミュウの保護者的存在でもある。

意識が途切れそうなほどの、謎の眠気に悩まされている。



誕生日・ハロウィンパーティーの日(ミュウと出逢った日)

年齢・不明。外見年齢・20代後半。

身長・198cm

好きな物・ナイトとミュウ。酒と煙草。ギャンブル。

苦手な物・甘い食べ物。ちいさくて可愛いもの。女性の涙。いい加減な男。束縛されること。

武器・刀、その他。


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ゴスロリ★ミュウ




【ミュウ・リトルロード・ネヴァー】通称・ミュウ。



ナイトとメアリに出逢うまでは独り、取り残された家で暮らしていた、戦争孤児。

キスで、ふたりを人間の姿にすることが出来る。

臆病で、ナイトメアリ以外の者とはまともに会話が出来ない。知能は幼児並み。

病弱で時々、謎の発作が起きる。

昔の記憶が無い。

不思議な力を持っているらしい?実は大きな謎を秘めている!?



誕生日・不明

年齢・不明。外見年齢・12~14歳。

身長・147cm

好きな物・ぬいぐるみ、ナイトメアリ、かわいいもの。

苦手な物・食事、太陽の光、人との会話。病弱な自分。男性。こわいこと。

武器・銃?


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王子★ナイト




【リ・ナイト・リトルロード・ネヴァー】通称・ナイト。



長い年月を掛けて不思議な力を得た、白いうさぎのぬいぐるみ・・・らしい。真の正体は不明。

キスで人の姿に変身できる。割と自由にうさぎの姿になったり、人間になったりできるらしい。

ミュウとは恋人のようなつもりでいる(それでも自分のほうが格上だと思ってる!?)。

言葉遣いは礼儀正しいが、腹の中では何を考えているか分からない。

何らかの原因で左脚が不自由。身長が低いのが少し気に入らない。



誕生日・クリスマスイヴの夜(ミュウと出逢った日)。

年齢・外見年齢・14~16歳。

身長・156cm

好きな物・ミュウさん。苺、飴、甘い食べもの。自分が優越だと感じること。

嫌いな物・メアリ。無能な者、自分より優秀な者。自分にとって得にならないこと。

武器・杖。


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【メアリ】のメッセージ。

……。

どうした?

眠れないのか?

また明日の朝起きられないとアイツがなんかしてくるぞ?

……。

ほら、ホットミルク

それ飲んだら寝ろ

……。

え?

一緒に寝ようって?

それは駄目だ……

わかるだろ?俺がお前と一緒に寝ると俺がつぶされるんだ

いや、お前の寝相が悪いからじゃない

……。

じゃあ大きな姿のままでいいから一緒に寝ようって?

それはもっと駄目だ!!

大体お前のベッドじゃ小さすぎて俺が入れんだろ

……いいから早く寝ろ

……。

頭を撫でてくれたら寝るって?

しょうがないやつだな

ほれ

いい子いい子

これでいいのか?

じゃあいい子だからもう寝ろ

……。

そんな顔するな

お前が眠るまで傍についててやるよ……

おやすみ



……いい子だ


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【ナイト】のメッセージ。

おはようございます

朝ですよ。起きてください

……。

早く起きないと襲ってしまいますよ?

……。

ちょっとほっぺたを突いてみましょうか

つんつん……

って、こんなので起きると思えませんよ!

おや?寝返りをうつんですか

随分と無防備な

なんだかやわらかそうな唇ですね……

そんなお色気攻撃はこのワタクシには効きませんよ?

……鼻を摘まんで無呼吸にでもしてやりたいところデスが

窒息されたら困るので止めといてやりましょう

……。

それにしても本当に起きませんね

まあいいです

後でたっぷりお仕置きでもしてやりましょう

このワタクシにモーニングコールをたのんでおいて起きなかった罰デス

貴方が悪いのデスよ?

ふふふ……

楽しみデス

……。

あれ?起きてしまったのですか?

つまらないですねぇ



……チッ


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愛のメッセージ5

こまっているひとがいたら

たすけたいな

ないているひとがいたら

だきしめたいな

よろこんでいるひとがいたら

いっしょにわらいたいな



そんなひとになりたいな



たいせつなひとをまもるために

つよくなりたいな

たくさんのひとをしあわせするために

おとなになりたいな



もうだれにもかなしんでほしくないから

いつか

せかいじゅうのひとが

えがおになりますように



そんなふうにいきていきたいな





「そんな人と生きていきたいな・・・」


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愛のメッセージ4

ときにひとをにくんだり

きたないこともしちゃうよね

いきているから

にんげんだから

こころがあるから



きずつけたくないとおもっていても

きずつけてしまうときがある

わるいことだとわかっていても

やってしまうことがある



いそがしさにおわれて

ついイライラして

いちばんたいせつなひとを

きずつけちゃった・・・



すこしやすんでみたらどうかな

たまにはにげることもひつようかも



ないてもいいよ

あんしんしてゆっくりおやすみ





「もう大丈夫・・・」








ナイト「……嫌なところがひとつも無い人間なんていませんよ」

メアリ「逆を突いたら、良いところを持っていない人間っていうのもいないのかもな」


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愛のメッセージ3

そばにいるよ

キミをまもるために



   

「愛してる・・・。」













短い詩もいいなぁ、と思って書いてみました。
なんだかセリフみたいになっちゃった。
直球勝負!?


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変身★メアリ




人間?の姿のメアリです★

彼は記憶喪失で、自分のことを悪魔だと思い込んでいます。造られた記憶が植え付けられているのです。。。

ミュウにキスしてもらって?不完全な状態だけど人間?に戻ることができました。
でも記憶と、途切れそうになる意識はそのまま。。。;;

ハロウィンパーティーの日が、ナイトとミュウとの出逢いで、ミュウにその日がメアリの誕生日だということにされてしまいました。

ミュウには特別な感情を抱いているようですが……!?


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軌跡~【メアリ・ロード】~・最終話

空。快晴。太陽の光が眩しい。

屋根の上で寝転びながら、俺は少しだけ昔の夢をみていたようだ。

「あわわっ……フガフガッ」

下から変な声が聞こえてきた。

まだ眠気が覚めず、ぼんやりしている体を起こす。

声のしたほうに目をやると、バルコニーに布団のお化け出現。だらりと垂れた毛布の下から小さな足が2本生えている。

ヨロヨロ~と歩き出し手擦りにもたれかかった。

と、思いきやそのまま手擦りを越えてふらりっと下へずり落ちそうになる。

俺は急いで手を伸ばす。

布団がべろんっとめくれて、そのお化けの正体があらわになる。

ミュウだ。

「ふわらぁ~、ありがとうメアリ~」

「まったく、布団と一緒に飛び降り自殺でもする気か?」

屋根の上から降り、俺はミュウの小さな体を布団ごと抱きかかえる。

「ああっ!ワタクシの許可なくミュウさんに触れないでくださいよ!この色魔!」

洗濯物を干していたナイトが横から罵声を浴びせてくる。

「あんっ!?じゃあお前ミュウを助けられたのかよ?そんな中学生みたいな体しやがって」

「ちゅ……!?」

「ふたりとも~、ケンカしちゃダメなんだよ~」

「ふ……今日のところはミュウさんに免じて許してやりましょう」

あきらかに引きつっている。絶対に助けられなかったに違いない。

「だいたい貴方は力仕事担当なんですから、布団は貴方が干しなさい!」

「……殴っていいか?」

命令されるのは気にいらないが、危なっかしくて見ていられないから手伝ってやることにした。

「じゃあミュウは洗濯物干すの手伝うね」

「――って、ちょwまて!ソレ俺のトランクスww」

「ふえ?メアリのパンティー大きいね~」

「愚かなメアリ。触られたくないのなら、とっとと自分で干して置けば良いんデス」

物干し竿を見ると丁重にもミュウの洗濯物の隣りに、キチンとナイトの洗濯物が干されていた。

なんだか気に入らない。

「……首絞めていいか?」

「おーこわい!遠慮しておきます」

「あははははは♪」

俺が怒る。

ナイトが嘲笑う。

ミュウが笑う。

これが今の俺達のいつもの風景。



……しばらく此処で過ごしていて気が付いたことがある……。

俺の呪いを解くには、女は俺のことを愛していて俺もその女を愛していなければならないのだ。

俺はあの時、ミュウを救いたいと思った。ただ強くそう願った。

誰かを想う気持ち――。

愛とはほど遠いかもしれない。……けれど、きっとそれが引き金となったのだ。

不完全な気持ちだから、不完全なまま呪いが解けた。

つまり、お互いが愛し合いキスをすればもとの姿に戻れるのだ。

……酷だな。

もとの姿に戻れば、魔界に帰らなくてはならない。それは愛する人との別れを意味する。

俺はナイトとミュウがどんなにお互いを想い合っているか、知っていた。

もしかしたら俺がもとの姿に戻れる日はやってこないかもしれない。

でもそれでも構わないと思っていた。

――きっと今日も夜は来るだろう――。

瞳を閉じるたびに、もう二度と目覚めることはできなくなるのではないかと恐怖に襲われる……。

だが、あの子の声がいつでも俺を呼び覚ます。

――『メアリ』。

……俺はもうナイトの正体は聞かない。

あの子……ミュウにはいつも笑っていて欲しい。

ずっとこのまま3人でいたい……。

……たとえ俺が人間ではなくても。俺は此処にいたい……。

この幸せな生活がいつまでも続くのだと信じていたい……。



……信じていたかった――。






軌跡~メアリ・ロード~◆おわり◆

◆◇次の物語へつづく◇◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~8

ナイトが何かに気がついて俺から顔を背ける。

それと同時に重圧感が抜け、俺の体も身動きが取れるようになる。

ナイトは窓から見える紅い月を見上げていた。

……月の光に照らされたその横顔、遠くを見つめるその瞳がほんの少しだけ寂しげに見えた。

……。

「……ナイト……?」

その声で、部屋中に張り詰めていた不穏な空気が一瞬にして弾け跳んだ。

パジャマ姿のミュウがそこにいた。

ふらふらとした足取りで、壁を支えにしながらリビングまで歩いてきていた。

具合が悪いのか、かなり顔色が悪い。目を赤く腫らしている。

「ミュウさん、どうしました?」

ナイトはさっきまでとは一変し、いつもと変わらない表情をミュウに向ける。

「……目が覚めたらナイトがいなかったから……ビックリして……」

どうやら俺達の一部始終は見られてはいないらしかった。

ナイトに身体を支えられると、糸の切れた操り人形のように、だらりと床に崩れ落ちる。

……人形。

――港で抱きかかえた時、ミュウの体はあまりにも軽く小さく細くて……まるで人形のようで……。俺は何故だか怖くなった。

「ふえぇっ……ナイト……」

震えながらちいさな子供のようにナイトにすがりつくミュウ。

一体どうしたというのか……俺には状況が把握できない。

「ミュウさんはとても体が弱いんです……」

それを察したのかナイトが俺に語りかける。さっきまでとは打って変わり、真剣な顔つきだ。

「眠るまでそばについていますから、もう部屋に戻りましょう」

ナイトはミュウをあやすように、涙で濡れた赤い頬を優しく撫でた。

ミュウは唇を噛み締めて、こくりと頷いた。

ミュウの体を支えながら廊下を歩く。杖を支えにしているナイトの左脚がぎこちない。

それを見ればその松葉杖がフェイクではないことが一目瞭然だった。

ナイトがほんの少しだけ苦しそうに眉を顰める。

俺は胸が締め付けられるような思いを感じた……。



ミュウの部屋。

ベッドの上で苦しそうにしているミュウ。息が荒い。

ミュウが毛布を握り締めてもがき始める。

「ナイト……苦しいよ……」

助けを求めるかのように手を伸ばす。

差し出したその手はゾッとするほど白く細い。

顔が苦痛に歪み、瞳から涙が溢れだし口から唾液が毀れる。

耳を塞ぎたくなるような堪え難い嗚咽を漏らす。

……あまりに突然のことに、そのあられもない姿に驚いた。

……なんだ……。

脚が竦む。身体が震える。まるで金縛りにあったかのように動けない。

「大丈夫ですよ……」

ナイトは行き場の無いその手をそっと握り、優しく微笑む……。

――微笑んでいるのに……その瞳は哀しみに揺れて、今にも濡れそうになっていた。

「ワタクシはずっと貴方のお傍にいます。ずっと此処にいます、何処にも行きません……だから安心してください」

そう言うと、ミュウは虚ろな瞳のまま汚れた顔でニッコリと微笑んだ。

……なんなんだ……。

口を押さえる。

気分が悪い……。

俺はミュウから目を逸らしてしまった。

だがそれでもナイトはミュウを見つめて、握った手を離さなかった。

……ずっとずっと離さなかった……。

俺には何にもできなかった。

……さっきまであんなに元気に笑っていたのに。

こんなのは見ていたくない……見ていられなかった……。

だから……。

――『メアリ!』

昼間のミュウの声が脳裏に響いた。嬉しそうに俺を呼ぶ声。

俺はあの時、港でふたりを救出した。

だがどんなに身体を守ることができても、心を守れなければ意味が無いのだ。

きっとナイトは今まで、ずっとこうしてミュウを守ってきたのだ。

それはこれからも、この先もずっと変わることはないのであろう……。

こんなに小さな体なのに……そんなに細い脚なのに……。

……俺は胸が苦しくなった。今までに感じたことの無い気持ちだった。

きっとただ笑っていてほしかったのだ。名前を呼んでほしかったのだ。自分に気が付いてほしかったのだ。

――誰に?

自然とあの子の笑顔が頭に浮かんだ。

此処へ来て初めて気がついた。

目蓋の奥がジーンと熱くなった。

……それが何という感情か、その時の俺には解らなかった。



――俺はその日、生まれて初めて涙というものを流した……。






◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~7

外はどっぷりと夜に更けこみ、俺たちはミュウの家へと帰って来ていた。

俺がリビングのソファーに座っていると、ナイトがスリッパを鳴らしながら歩いてきた。

ナイトに尋ねる。

「あの子は?」

「……よほど疲れたのでしょう、よく眠っています」

「そうか……よかった」

ため息をつきながら、何故だかホッとしている……そんな自分に疑問を抱いてしまう。

ナイトがキッチンで茶を淹れてから、リビングに入って来る。やけに甘い香りが漂ってくる。

手にはティーカップを持っている。

「苺ミルクティー、あなたも飲みますか?」

「いや、遠慮しておく」

またあんな喉が燃えるような思いをするのはごめんだ。

「いらないんですか?おいしいのに~」

眉を顰めて舌を見せるナイト。

俺の向かい側のソファーに腰を下ろし、紅茶にくちをつけると、「ほう……」と一息だけついてカップをテーブルの上に置いた。

「ところで……いつまで長居をしているおつもりで?そのような下郎な姿にも戻れたのデスから、とっととお帰りになられては?」

ナイトが皮肉に笑い、口元を歪ませる。

「無茶言うな。角も牙も爪も無いし、大体肝心な翼が生えていない。これでは帰りたくても帰れない」

今の俺の姿はただの人間となんら変わらなかった。呪いはまだ完全には解けていないのだ。

あれは夢だったのだろうか?……あの時確かに俺の背中には黒い翼が生えていた。

「……さようデスか」

チッと舌打ちするナイト。

「……」

しばしの沈黙が流れる。ナイトの顔が浮かない。

「……気にしてるのか?あの子をすぐに助けられなかったこと」

ナイトはうつむいて、

「……ワタクシとしたことが、愚かな醜態をさらしてしまいましたね」

少しだけ笑ってから、虚空を眺めた。

……窓から見える月までもが不気味に紅く輝いている……。

やはり此処は何かがおかしい……。

だがそれが何かが解らない。考えようとすると意識が途絶えそうになる。

「……ナイト」

……今も、嫌な予感は止まらない……。

「おまえは一体何者なんだ?」

少しだけピクリと反応し、

「……何度も言っているように、ワタクシはただの不思議なぬいぐるみですよ」

確かに天使でも悪魔でもない……それは解る。だが、何なんだ?この嫌な感じは……。

「違う……おまえはぬいぐるみなんかじゃない」

ナイトは笑んだまま俺を見据えている。

「おまえは――」

白い髪の隙間から見える紅い瞳がギラリッと光った気がした。

「邪悪なる者だ!」

――……。

刹那、空気に緊張が張り詰めた。

俺は厳しい目線をナイトに向ける。

「ふふふ……」

ナイトは動揺した様子など微塵も見せず、

「ふ……悪魔にそんなこと言われたくありませんねぇ。それは貴方のほうではないのですか?」

気に入らないという感じで嘲笑し、全てを見透かしているかのような冷酷な瞳をこちらに向ける。

「この下等生物が」

――――。

窓も開いていない部屋の中で、ざわりっと一筋の風が……駆け抜けた気がした。

「いいですか?今後一切ワタクシの正体を暴こうなどと考えないこと、そうでなければもうこの家には居られないと思ってください」

ナイトが淡々と続ける。

意識が朦朧としだす。

――とてつもなく気分が悪い……。

「もしそれでもこの命令に背くというのであれば」

呼吸が荒くなる。異様な恐ろしさを感じる。

ナイトが杖の切っ先を俺の頬へ向ける。

「――貴方を殺してしまいますよ――」

――!!

瞬間、紅い瞳が異常なまでに輝きを増す。

吸い込まれそうなほど不気味に大きく見開く。

今までに感じたことの無い強烈な威圧感。立っていられないほどの気分の悪さ。

……世界が酩酊する……。

俺は床に平伏してしまっていた。

……こう見えても俺は魔界では上流階級の悪魔だったのだ。そのせいでやたらと長い名前だが、誰もが俺に忠誠し、ギャンブルも女もやりたい放題だった。

その俺が……初めて恐怖――恐ろしいという感情を抱いてしまった……。

「あれ……?どうしたのですか?メアリ」

全身から汗がほとばしる。体が凍り付けにされたかのように動かない。

空気まで薄い気がする。擦れそうな視界で懸命にナイトのほうを見る。

俺は顔を上げることすら出来なかった。

……だが、

……笑んでいる口元だけが微かに見えた……。





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~6

「ここまで来れば……もう大丈夫のようですね……」

ガーディアン達の手を逃れ、俺達はひと気の無い港の方まで来ていた。

一瞬、酩酊はしたものの、俺はなんとか意識を失わずに済んでいる。

空はいつの間にか薄暗くなり、夜のとばりが下りようとしていた。

それに合わせるかの様に、ナイトの髪が白く輝きを増している。

「ナイト、お前……」

「大丈夫ですよ。急所は外していますので、死んでません」

俺が問い掛けるよりも早く、前髪を右手で押さえながら、こちらに目をやる。

碧かったはずの瞳が紅く光っている。

いや、聞いてないし。

ふざけているのか……?

「そうじゃない、お前のその髪と目――……」

ナイトが髪を摘みながら、

「ああ、コレですか?……力を使ったり、夜になったりすると自然と光っちゃうんですよね。それが何故かはワタクシにも解りませんが……何か問題でも?」

軽く笑いながら、大きな瞳をギョロリと動かす。

――……。

背筋にほんの少し寒気が走った。

また嫌な予感が胸を襲う。

「ナイト、お前まさか―――」

「……ナイトは雪うさぎさんだから……」

ミュウが俺の声をさえぎるように呟いた。

「月からやってきた王子様だから」

うつむいていて顔はよく見えない。

「だから髪が光ったり、目があかくなったりするんだよ」

そう言うとミュウは顔を上げ、少しだけ寂しそうに……笑顔を見せた。

潮風を受けて、

見惚れるほどに綺麗で……切なそうで……

……俺はまた、なんだか不思議な気持ちになり、顔が赤くなってしまった……。

恥ずかしいのか、ナイトは俺たちに背を向けた。

ミュウは、ナイトの髪はお月様で、瞳は白いうさぎさんみたいだと言った。

気が付くと、うっすらと空に満月が出ていた。だんだんと夜の闇に包まれて強く輝き始める。

大きなお月様と、小さなお月様のふたつ……。

本当に月の王子様かもしれない――なんて馬鹿なことを思いそうになる。

……ミュウがナイトの傍に歩み寄り、そっと手を繋ぐ。

影が重なり合う。

俺はそんなふたりを見つめながら……

……何故だか胸がズキンッと痛んだ。

?   どうしてだ……?

……また意識が薄れそうになる……眠い。……とても眠い……。

…………

ブオオオォーーーーーーン!!

突然の強烈な音になんとか意識を取り戻す。

「!?」

音のしたほうへ目をやると、沖合いから遊覧船が俺達のほうへ迫って来ていた。

船体が態勢を崩し、逃げ惑う乗客たちの姿が見えた。

海面が吹き上がる。船が汽笛を上げる。

港に激突寸前の処まできていた。

……ミュウは驚きのあまり、体が動かない。

「ナイトッ!!」

俺はナイトに叫び掛ける。

――だが、

……ナイト……?

ナイトは船のほうを見つめ、立ち竦んだまま動こうとしない。

――っ馬鹿野郎!!お前まで何ボーッとしてやがる!!

お前くらいの奴なら、さっきの魔法のような力で何とか出来るだろうが!!

まずい……このままでは3人とも……。

船はもう目の前まで迫っている。

俺はただのうさぎのぬいぐるみで……どうすることも出来ない。

誰か……!!

誰か!!

――……誰か――?

……その時、自分の体がドクンッと音を立て、どんどん熱くなっていくのを感じた。

俺の体が……変わっていく……?

――!?

一瞬だけ自分の大きな腕を確認することができた。

もう迷っている時間はなかった。

俺は混乱しながらも、無我夢中でナイトとミュウの体を抱え上げ、横へ跳んだ。

瞬間――背中に黒い翼が生えて、空を翔け上がったように思えた。

月光を浴びて宙に舞う、黒い影。

俺は……もとの姿に戻ることが出来たのだろうか……?

……だがそれは、ひと時の幻影で、俺に掛けられた呪いは不完全な状態で解けていたのだ……。



なんとか激突は回避して、免れることができた。

遊覧船は少々破損したものの、乗組員や乗客たちも命に別状は無いようだった。

もっとも、事故の衝撃でミュウは気絶してしまい、ナイトは瞳を見開いて俺を凝視したまま微動だにしない。

当たり前か……。あんな馬鹿みたいなうさぎの姿から一変して、黒装束の長身なやたらと目つきの悪い男性になったのだ。

……さあて、どうしたもんか……。

俺は引きつって笑うしかなかった。

とりあえず、問題は山積みのようだ。





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~5

声をかけたのは、やたらと派手でキワドイ衣装に身を包む、妙に色っぽいオネーサマ達……。

突然の突拍子も無いお願いに動きを停止させている。

何度でも言おう、俺は小さな黒いうさぎのぬいぐるみのような外見をしている。

ナイト……お前けっこう馬鹿だろ……。こんな姿の俺に、ハイそうですかとキスしてくれる女が何処にいるっていうんだい!?(笑)

大体、理由を話しても信じてくれるかも疑わしいってのにwww

「きゃー、なにこの子ぉー」

「ちょーカワイイんだけどぉー!」

「いやーん」

お……?

踊り子達が頬を赤らめ、腰をくねらせ、擦り寄ってくる。

……そういうことか。

さすが俺様。こんな姿になっていても格好良さは隠せない、滲み出てしまうものなのかぁwww

「キミ、いくつなのぉー?」

「おませさんねぇー」

「おねえさんたちと、キスしたいの?」

踊り子達の腕がナイトの頬に掛けられる。

「いや、あの、ワタクシではなく、このうさぎに……」

ナイトの腕からズリ落ち、顔面強打する俺。

「なに恥ずかしがってんのぉー?」

「あはっ、ほっぺたやわらかーい」

「あん、ずるい。アタシがさきに……」

く、ははははははwww

……って、ナイトかよっ!!

くそっ、こんな屈辱は生まれて初めてだ……ナイトめ……。

「……メアリ!助けなさいっ!」

しばらくして夕空に、ナイトの苦しむ断末魔の叫びが轟いた。

が、俺にはそんなこと、知ったこっちゃあないのである。

「くうぅっ、ワタクシとしたことが……」

顔中キスマークだらけのナイトが、松葉杖を支えにガクガクとへたりこんでいる。

あわれな……。

この程度でへこたれるなど、まだまだだ。ざまあないな。

「……ふっ、ふえぇ~~」

???

ミュウの声?

ベンチに座ってアイスを食べながら待っていたはずのミュウ。見ると変な野郎共にからまれていた。

「わぁ~うさみみちゃんだあ~」

「そそそのスカートのなか、どどうなってるのおぉぉ」

「ハアハアさわってもいいのかな?かな?」

やたらデブッてたり、牛乳瓶底メガネだったり、ロン毛で顔が見えてなかったり……。

ゾンビの如きオーラをかもし出し、ミュウに迫っている。

キモッ!!ってかヘンタイか!?

「おーい、ナイ……」

俺の声よりも速く、閃光のごとく駆け出すナイトの影が見えた。

ナイトが跳んだ!?かと思いきや、

「†††ロザス・エデン†††」

何やら呪文を唱えると、左腕に装着していた松葉杖がメキメキと音を立て、巨大な十字架へと変化していった。

おいおいおいおいっっwww

装飾の施された、まばゆい光を放つ巨大な十字架の尖端から鎖の様なものが生え出し、さらにその先にはダガーの様なものが付いている。

この感じは……。

アイツ……タダ者じゃないとは思っていたが、こんな街中で攻撃魔法使うつもりか!?

鎖がうねり、ダガーが野郎共の方へと向かっていく。

『ぎょおおひいげええええっっwww』

野郎共が叫び逃げ惑う。

「あっっほかあぁぁぁ!!やめろぉーーーナイトぉーーー!!」

鎖が囲むように標的を追い詰めていく。

………………

ちゅどおぉーーーーーーんwww

………………

俺の叫びも虚しく、ナイトの放った攻撃は定めた相手に命中したようだ。

ううう……見たくねぇ……。

っていうか、そうやって使う物だったのな……その松葉杖。

「まったく……大丈夫ですか?」

十字架をもとの松葉杖に戻し、服についた汚れを払いながら、平然と歩いてくるナイト。

涙ぐむミュウに手を差し伸べる。

「ナイト……ありがとう」

いや、ありがとうって言うのか?この場合……。

パレードが中断して野次馬が集まってくる。街中はさらに騒がしくなった。

はっ!まずい!

この騒ぎを聞きつけてか、黒服のガーディアン達が出動していた。こちらに向かって来ている。

「逃げますよっ!」

「ふええっ」

ミュウが急いで俺を抱きかかえ、ナイトがミュウの腕をひっぱる。

人混みを掻き分けて、ふたりが走り出す。

……その時、ざわりっと風が吹いた。

ナイトの髪がやけに白く光り輝いている……。

見えてしまった。

それは夕焼けの色ではない。

見てしまった。

……ナイトの碧い瞳が、深紅に染まっているのを……。

……俺はまた意識がとびそうになり、目蓋を開けているのが精一杯だった……。





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~4

……俺は、一体何をしているんだ……?

「ナイト~、おいしいね♪」

「ハイ、そうですね!」

ミュウはバニラのアイスをひとつ。ナイトはストロベリー味のアイスをこれでもか、というくらい大量にコーン積み上げている。

ふたりはそれをペロペロしながら、ベンチに仲良く並んで座っているのだ。

ハタから見れば中学生くらいの可愛らしいほのぼのカップル。

そんな二人の間に挟まれて、ちょこんと座る俺は……ただの黒いうさぎのぬいぐるみ……。

街は賑わい、楽しげな音楽に、浮かれた仮装をして踊る人間たち。

……こんなことをしている場合ではないのに……。

此処へ来てから、ずっと嫌な予感が止まらない。

空はいつの間にか、夕焼け色に染まっていた。

……空???

なんだ?

ナイトが手で前髪を押さえている。隙間から美しい碧眼が見えた。

空を気にしている……?

何故だか違和感がある。

だがそれが何なのかわからない―――

すうっと意識が薄れていくのを感じた。

心と身体が離脱しそうになる。

まずい……

「ねっ、メアリちゃん!」

しかし紙一重のところで何とかそれは免れた。

「……たのむ。ちゃん付けはやめてくれ」

「じゃあメアリ?」

「なんだ?」

「わたしのことはミュウって呼んでね」

……そんなことはどうでもよい。

「ね、メアリに誕生日はあるの?」

「そんなものはない」

「ないの……?どうして?悪魔さんだから?」

なんなんだ?めんどくさいな……。

「さあな。俺は人間よりずっと長く生きてきた、だからいつ頃生まれたかなんてもう忘れた」

「誕生日なくて、さみしくないの……?」

「別に欲しくはないし、そんな感情もわからない」

ミュウは哀しそうに、うつむいた。

「……ナイトはね、クリスマスイヴが誕生日なの。ミュウとはじめて逢った日」

何を言っているんだ。変な女だな。

「だから、メアリの誕生日も今日にしていい?」

訳が分からない。

「好きにしろ」

だが俺がそう言うと、ミュウは満面の笑顔を見せた。

「じゃあ決まり!メアリの誕生日はハロウィンパーティーの日だよっ!」

ミュウが、むぎゅむぎゅと俺を抱きしめ、頬ずりをしてくる。

「えへ~、メアリ~♪」

「やめてくれxxつぶれるxx」

本当に変な女だ。人間という生き物は皆こうなのか?

……だが、何故だか俺はくすぐったいような恥ずかしいような不思議な気分になり、顔が熱くなっていくのを感じた。

不思議と嫌な気はしなかった……。

ナイトがつまらなさそうに俺達のやり取りを見つめていた。



「さてっ、そろそろやりますか!」

大量のアイスを食べ終え、満足したらしいナイト。

左腕に装着させているシルバー色の松葉杖を支えにしながら、「どっこらしょっと」とか言いながらゆっくりと立ち上がった。

オヤジかよww変なヤツ……。

それにこいつらふたりとも、肌が異常に真っ白だし……。なんか気持ち悪い。

陽の光が苦手なのか何なのか、ミュウは日傘まで差している。

「ミュウさんはここで待っていてください」

「うん」

「何をする気だ?」

「あなたの呪いが解けるかどうか試します」

「試すって……」

ナイトは辺りを見渡しながら、

「とりあえず、女性にキスされればよいのですよね?」

視線の先にあるのは、カーニバルの中の踊り子。

オイ、まさか……。

ナイトが俺の体を、がしりっと掴み人混みの中を突進して行く。

「バカヤローーwwヤメローーーwww」

聞く耳持たず……。

おもむろに俺の体を前へ突き出し、言い放った。

「キスしてくれませんか?」

ああ、やっぱりそうなんだ……w

馬鹿ナイト……。

俺はかわいそうな黒いうさぎのぬいぐるみ。

……もとの姿に戻れる日は……やってくるよな……?





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~3

俺は今在る状況を、ありのままにナイトに話した。

「……ほう?ではあなたは悪魔であり、ワタクシと外見が似ているのはまったくの偶然、ということですね?」

「ああ、俺はおまえが言う不思議なぬいぐるみとかではない」

「そう、ですかぁ」

何か符に落ちない、といった感じでため息をつくナイト。

「とにかく俺は一刻も早く、もとの姿に戻りたい」

「ねね、それってミュウでもできる?」

ずっと隣りで話を聞いていた女が、ひょいっと首を突っ込んでくる。

「……まさかミュウさん、こいつに接吻する、とか言うつもりデスか?」

「だって女の子にキスしてもらえば、もとにもどれるんでしょ?」

確かに、どんな女にしてもらわなければならない、という決まりはない。こんな子供みたいな女でも……いいのか?

「っ……ミュウさんは駄目ですっ」

「ふえ~?どうしてぇ~?」

ミュウとかいう女がナイトの体を、ひょいっと持ち上げる。

……――。

……よく見ると、ナイトの背中に羽が生えている……。

「ミュウさんは既にワタクシとしていますから、メアリには効かない可能性があります」

「そうかなぁ……?でも、してみないとわかんないよ?」

真っ白な翼……。

「とにかく駄目ですっ」

「ふえ~」

何だか嫌な予感がする……。

「ナイト……」

俺の言葉がふたりの会話をさえぎる。

「おまえ天使なのか?」

一瞬、ピリリと空気が張り詰めた気がした。

もしそうなら、こいつは俺の敵だ。

…………。

「……ちがいますよ。この背中の羽は彼女が勝手に縫いつけたレプリカです」

今の言葉で全てが通じたかのように、

「天使でもなければ悪魔でもありません。ワタクシは、そう―――」

だが、何かがおかしい。

「ただの、とても不思議なぬいぐるみです」

ナイトが微笑む。

微笑んでいるのに。……何故だかとても気分が悪い……。

「ねえ、ナイト!」

女、ミュウが急にすくっと立ち上がる。

「やっぱりミュウ、メアリちゃんとキスするよ!」

!?

いきなり何を言い出すんだ。この女は。

「だってかわいそうだもんっ!はやくもとの姿にもどしてあげたいよ!」

「……さっきも言ったように、それは駄目ですっ。させませんよ。」

ナイトがやたら不機嫌になって、口をとがらせる。

「むぅ~~~」

ミュウがむくれる。かと思いきや、俺の体をガシッとわし掴みにしてきた。

なっ、何する気だ!!この女!!

おもむろに顔を近づけてくる。

オイwwヤメロwwwkl;ftdグェhンjvr。ッッッ

ぶちゅうぅぅ~~~………

…………。

ちゅううぅ~~

……

しぃーーーーん。

「…………」

「…………」

「……何も起きませんね」

…………。

「っぷはあ!」

苦しっ!!息がっ!!

「だっ、ダメ?」

「だから言ったじゃないデスか」

「ゲホッゲホッ……おううげろええぇーーー」

「消毒が必要デスね」

「ふざけるなーーーwww俺は汚くな…………」

!!??

今度はナイトがミュウに唇を寄せる。

……と、思った途端、急にナイトの体が異常な光を放ち始める。

辺りが真っ白になって、何も見えなくなってしまった。



「~~~ったく。なんだって……」

――!!??

……サラサラとなびく、きらびやかな金髪が見えた。

「stgl;ljttydじゅgほぃえお;cfgヴいえッッッ!!??」

「おや、驚かせてしまいましたか?」

目の前にいたはずの白いうさぎのぬいぐるみが、金髪の端麗な少年へと姿を変えていた。

マテwwwコラwwwオイ

……そりゃあ驚くに決まってるだろ!?

そういえばさっき、ワタクシと既にしてるとかなんとか言ってたな……。

やっぱり何かが変だ。

っていうか、これで驚かないほうがどうかしている。

「消毒完了☆デスね♪」

唇の前に人差し指をあてて、にんまり笑うナイト。

「あれっ、よく考えたら間接キスじゃないデスか。気色の悪い」

もう叫ぶ気にもなれん……。

「それでは、行きましょうか」

「ふえ?」

「何処へ?」

ナイトがふわりっと青いマントをひるがえす。

「さっきはメアリに邪魔されてしまいましたからね。これからパレード見物と洒落込みましょう!」

とても綺麗な笑顔だった。

それなのに……

……その瞬間目眩がして、嫌な感じは一層強くなった……。





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~2

―――頭に何かひんやりとした物をのせられている。気持ちが良い。

ぼんやりと天井が見える。

……どこだ?ここは……。

「おや、気がつきましたか?」

すぐ隣りから声がした。誰だ?

声のしたほうへ向き直ると、そこには……

「……cdghjlp;尾dじwyxjztゅいう;l¥p¥kふwhl:\ブ;;ッッッ!!??」

白いうさぎのぬいぐるみが、ちょこんと座って俺を眺めていた。

「ちょwwおまっwwマテwwwオイコラッ!!」

「……さわがしい奴デスね」

よく見たらコイツ、さっきの白いうさぎだ。唇をとがらせ、頭をポリポリと掻いている。

「う……動いてる!!ぬいぐるみがッッ!!しゃべってるぅーー!!」

「あなたも、ぬいぐるみじゃないですか」

……そうだった!!

だが俺は悪魔だ。こいつは一体―――

「黒いぬいぐるみちゃん、起きたぁ?」

キッチンのほうから、ツインテールのチビな女がこっちへ駆け寄ってくる。

こいつもさっきの変な格好をした女だ。

「彼女があなたを救助してくれたんですよ。感謝しなさい」

白いうさぎがギロリと俺を睨む。

「あ、ああ……。恩にきる」

どうやらここはこの女の家らしい。俺はソファーで眠っていたようだ。

「はい、ぬいぐるみちゃんっ」

目の前にあるテーブルに、グラスを差し出された。中には奇妙なピンク色した液体が注がれている。

なんじゃこらぁ!?

「いちごミルク、美味しいですよ」

白いうさぎが羨ましそうに、ソレを見つめる。そして俺を睨む。

女はニコニコと俺に微笑む。

ああ……是が非でも飲まねばならん、ということか……。

俺は心を決め、奇妙な液体を一気に喉に流し込んだ。

「ぶふうげうぶえふーーー!!」

まずい!!しかも舌が燃えるほど甘い!!

どういう味覚してんだコイツら……俺をコロス気か?恐ろしい。

「ふむ……それにしても」

白いうさぎが俺をジロジロと舐め回すように見てくる。

「なっ、なんだ?」

やんのか?コラ。

「見れば見るほど似てますね」

……はっ?

「認めたくはありませんが。製造が同じなんですかね?色違い、という感じですね」

「お、おい。一体なんの話をして――」

「あなたも不思議なぬいぐるみなのでしょう?」

――その言葉に絶句した。

うさぎが前を見据えて、

「ワタクシはナイト、と申します。素晴らしい名前でしょう?」

誇らしげに胸を張る。

「あなたの名前をお聞きしたい」

……名乗っても別に不都合は無いか。それに黙っていても何の解決にもならない。

だいたいもうコイツがしゃべってるんだ。誰も驚かないだろう。

「俺はメアリ。メアリード・ハイデルベルク・ウォン・シュヴァンシュタインⅣ世だ」

一瞬うさぎが動きを止めたように思えた。

長すぎて聞き取れなかった、とかじゃないよな?

「……そうですか。メアリ……。まさか名前までとは……。あまりの偶然にどうしようかと困ってしまいますね」

「ふえ?え?ミュウよくわからなかったよぉお」

女が何やら慌てふためいているが、無視して、

「何がだ?」

「いえ、こちらのこと……。こほんっ」

何か気に障るが、今はそれどころじゃない。

「……とりあえず、ナイト?」

俺は白いうさぎをそう呼んだ。

「俺は今、猛烈に困っている。解決するのに協力してほしい」

「内容によっては、しかねますが。まぁ、いいでしょう」

白いうさぎ、ナイトがニヤリッと笑う。

「で、何なのです?その困ったこととは」

……何だか全てを見透かされているようで、俺は少し寒気がした……。





◆つづく◆


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軌跡~【メアリ・ロード】~・黒兎

……自分が何時この世に生まれたのかなんてもう憶えていない。

きっとそれほど大昔のことなのだ―――。



「はぁ……。我ながら情けない姿になったもんだ……」

街角のショーウィンドウに映る自分の姿を、まじまじと見つめながら、俺は途方に暮れていた。

とりあえず、今俺の目の前に映っていることをありのままに話す。

俺は黒っぽい、うさぎのぬいぐるみのような姿をしている。

……もちろん、ふざけているわけでもなく、俺自身が元々うさぎのぬいぐるみ、というわけでもない。

俺の正体は悪魔戦士である。魔界で暮らしていたのだ。

それが何故こんなことになったのかと言うと、早い話が、

俺を好きだとかいう、しつこく迫る魔女の誘いを断ったら、呪いをかけられ人間界に堕とされてしまったのだ。

しかも、やっかいなのがこの呪い、【人間の女にキスしてもらわないと解けない】という条件つき……。

って、オイ。

「この姿じゃどう考えても無理だろ……」

本日2回目のため息が毀れる。

それにしても……。

俺はビルとビルの間に身を潜めてから辺りを見渡した。

今日はハロウィンとかいう人間界のお祭りがあるらしい。道行く奴らは皆、イカれた格好をしてやがる。

ドラキュラだの、ミイラ男だの、カボチャのお化けだの……。中には魔女の仮装をした奴もいる。

「うげえぇ……」

正直吐き気がする。これが噂のコスプレってやつか?

しばらく様子を窺っていると、やたら目を引くゴッチャリとしたフリフリの、いかにも可愛らしい洋服を着た女が歩いてきた。

「なんじゃアレは……」

うさみみ付けて、長いツインテールを揺らしながら、腕には白いうさぎのぬいぐるみを抱えている。

……なんとなくだが、その白いうさぎと目が合った。……気がした。

そんなことはない。ただのぬいぐるみだ。

しかも、なんか今の俺の姿と少し似てるしっ!!

めちゃくちゃ嫌な気分だ。早々にこの場を立ち去ろう。それがいい。そうしよう。

そう思った矢先……、

急に俺の足元が暗くなった。

「……なんだ?」

俺の体全部を覆うほどの巨大な影だ。

したっしたっ……と背後から迫ってくる足音が聞こえる。

「ニャァ~~ゴォ~~」

その声に、背筋がゾッとして体が凍りついた。汗が全身をほとばしる。

まさか……。冗談じゃねぇぞ。オイ。

正体はなんとなく察しが付いた。恐る恐る振り向くと、

影の主は巨大な、異常にデブった野良猫だった。

ああ……。やっぱりそうなんかい……。

うれしそうに俺を見てマウントポジションをとる。

どう見ても俺に跳びかかる寸前だッ!!獲物を見る眼だッ!!マジで喰われる5秒前ってやつか!?

ていうか俺はネズミか!?やられる前に逃げろッ!!

俺は無我夢中で走り出した。

……走り出した、のは良かったのだが、

勢い余って、さっきまで俺が眺めていた大通りのほうへ走り込んでしまった。

まずい!さっきの変な女とうさぎが!

方向を転換しようとした。……だが、

ごいんっっ!!

……街路樹に激突した。

野良猫の嘲笑う鳴き声が聞こえた気がした。

……ああ。俺はもう駄目だぁ~~……。

意識が遠退くのを感じた。





◆つづく◆


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変身★ナイト





人間、、、というか、人形の姿のナイトです★

この時は、素顔はまだお楽しみに~という感じで、前髪で目を隠しておいたのです;;
絵も設定もけっこう変わってしまいましたが。。。;;

ミュウにキスしてもらった、、、のではなく自分からして、人間?の姿になったのでした(^_^;)

病気のミュウを守るために。。。



クリスマス・イヴの夜。ボロボロの姿でゴミ捨て場に捨てられていたナイトを拾って、お家につれて帰ったミュウ。

その特別な記念日をナイトの誕生日にすることに。。。

これがふたりのはじめての出逢いで、全てのはじまり。。。夢のはじまり。。。

けれど、ふたりはもっと昔からすでに出逢っていた。お互いのことを知っていた。解り合っていた。
ずっといっしょにいたいから、これを全ての始まりと決めた。



この世界で、ずっといっしょに遊ぶために……。


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追憶~【ユメノ・ナイト】~・最終話

夜。満天の星空。

バルコニーで満月を眺めながら、私はそんな昔のことを思い出していた。

あの時私は心に誓ったんです。

もう二度とひとりぼっちの夜が訪れないように、怖い夢から彼女を守る、彼女が夢見た王子様の様な【騎士】になると……。

あれから数年の時が過ぎた。

彼女は今もこの家で独りで暮らしている。

いや、私もいるし、メアリという黒装束の変な下僕も増えましたが。

「ナイトぉ~~」

すぐ後ろから、妙に間延びした力の抜けそうな声が呼び掛けてきた。

ミュウさんだ。

「えへ~」

彼女は私の隣りに、寄り添うように並んだ。

「月、キレイだね」

「ハイ。そうですね」

ふわりと風がふいて、彼女の長くて柔らかな髪が私の鼻をくすぐる。

甘くていい香りがした。

彼女はあの頃よりずっとオトナになった。

と言っても、成長したのは年齢だけで、外見も中身も子供のままですけど。

でもそのおかげなのか、私が人間の姿でいられる時間も随分長くなった。

「ナイトの髪もキラキラして、お月様みたい!」

その言葉に、なんだか照れくさくなった。

「そろそろ部屋に戻りましょう。体が冷えます」

「え~。もうちょっと見てたいよぅ……」

私はきびすを返して、

「なら言いますけど、貴方が体調を崩したら誰が看病すると思ってるんデスか?」

彼女は、しばし考え、

「……メアリ?」

オイ。コラ。

「……押し倒しますよ?」

「ふえ?押し倒してどうするの?」

!?

……この私に反撃してくるとは。

なかなかやるようになりましたね……。

まぁ、本当に意味とか分かってないんでしょうけど。

「ふふふ……」

私は笑ってしまっていた。

彼女が不思議そうな瞳で覗きこんでくる。

私はそっと彼女の手をとり、つないだ。

彼女も笑ってくれた。

とても幸せだと思った。

そう、私は今幸せなのだ。

ずっとこのままでいたい。心からそう思った。

……だが、それはきっといけないことなのだ。

教えてもらはなくとも聴こえる。

『カミサマはきづいている

カミサマはしっている

カミサマはみている』

本当は自分の正体もなんとなく分かっていた。

でも今はまだ気付かないふりをしていよう。

貴方は騎士だと信じていてください……。

私は天使でもない。

王子様でもない。

不思議なぬいぐるみなどではないのだから―――。



この心に願うことはただひとつ

どうかカミサマ

『こんな私に気付かないでください……

私は此処にいたいです……

彼女の【ナイト】でいたいのです……』







追憶~ユメノ・ナイト~◆おわり◆

◆◇次の物語へつづく◇◆


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追憶~【ユメノ・ナイト】~5

ある日家の中で、ガタガターーーン!!と何かが崩れ落ちるような激しい音が響いた。

音のしたほうへ向かうと、彼女が廊下で倒れていた。

「ミュウさん!?」

私が呼んでも彼女は起き上がろうとしない。苦しそうに呻くだけだ。

息が荒い。

震える彼女の体がどんどん冷たくなっていく。

……どうすれば、どうしたらいいのか……。

私は途方に暮れ、彼女の周りをうろつくことしかできない。

どうやら彼女は体が弱いらしかった。

何をするにも何時でも、人よりもゆっくりとしたペースで物事を進めていった。時々発作の様なものが起こり、
つらそうにしていることもあった。

そばにいるだけで、私にはどうすることもできなかった。

そう……、ぬいぐるみである私にできることなど何もないのだ。

―――『貴方を守れないこんな体なら、いらない』のに……。

私は気が付いた。いや、思い出した。

今まで誰にも見せたことのない、使ったことのない不思議なチカラが自分に宿っていることを。

本当はわかっていたのに、わざと使わなかった。

少しだけ迷った。

だが、今使わないでいつ使うというのだ。

使えばもう此処には居られなくなるかもしれない。それでも構わない。

「少しルール違反かもしれませんが、許してください……」

私は【誰か】に向かって呟いた。

そして、彼女の唇にそっと、くちづけを交わした……。



彼女の部屋。

私は彼女をベッドに運んだ。

「……んっ……」

気が付いたのか、彼女が身じろぎして目を開いた。

私を見つめて、

「……だあれ……?」

私はにっこりっと笑ってみせ、

「ボンジュール、ミュウさん」

「ナイト……?」

「ハイ」

……私はぬいぐるみではない姿になっていた。

体は大きく。手足も長い。全く別の外見だ。それはまるで……

「ナイト……人間だったの……?」

驚くかもしれない、信じてもらえないかもしれない……。だが彼女は虚ろな瞳のままで、

「天使みたい……」

サラサラした金色の髪が、そう見せているのだろうか。

「それとも王子様……?ミュウのこと、むかえにきてくれたの……?」

……彼女の言葉に、逆に驚いてしまった。

「誰かがむかし、おしえてくれた……。いい子にしてたら王子様がむかえにきてくれるって……


彼女の顔が苦痛に歪む。

引きちぎれそうなくらい強い力で毛布を握り締める。

「くるしいよ……もうここにいたくないの……。ナイト……」

私に触れようとしているのだろうか。震えながら必死に手を伸ばしてくる。

「つれてって……」

その言葉がなにを意味しているのか、

言わなくても分かってしまった……。

見ていたくなかった。見ていられなかった。

痛々しい彼女の手をそっと握り締めた。

柔らかくてあたたかく私の体を包み込んでくれた、その手が……

こんなにも細く小さいなんて。

笑顔を見せて

私の名前を呼んで

抱きしめてほしいのに

……彼女の体から、いつもの甘くていい香りがしなかった。

「残念ですが、ワタクシは天使でも王子様でもありません」

彼女の瞳が暗く沈む。

「ワタクシはとても不思議なぬいぐるみです」

彼女が唇を噛み締める。涙が溢れて毀れる。

私は優しく、そして強く、続けた。

「……ですから、こうしてずっとお傍で貴方をお守りします……」



……我ながら、全く辻褄の合わないクサイ台詞だったと思う。

けれど彼女は泣き疲れると、ひと時の眠りに就いた。

その時、頬に静かにくちづけしたことを……彼女は知らない。



―――そうして魔法は解けた。






◆つづく◆


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追憶~【ユメノ・ナイト】~4

私は深くお辞儀をしてから、ゆっくりと頭を上げて尋ねた。

「ワタクシはちょっぴり不思議なぬいぐるみです。貴方の名前を教えてくれませんか?」

彼女は目を丸くしたまま動きを止めている。

……いきなり名前を聞いたのは失礼でしたでしょうか。

「できればこちらから名乗りたい処なのですが、ワタクシにはまだ名前がありません」

微動だにしない彼女。

「よろしければ貴方に名前を付けていただきたい」

彼女は私を凝視している。

もしかしたら、……また捨てられてしまうかもしれない……。

そんな不安が頭を過ぎった。

不意に彼女が両手で私の体を持ち上げてくる。すると瞳の色が一瞬にして変わり、キラキラ輝き出した。

「うわぁ~。すごいすご~い!しゃべってるっ!」

「あ、あの……」

私を高く持ち上げて部屋の中でくるくると回りだす。ヒラヒラした彼女のミニスカートがふわりとめくれ上がる。

ぴたりっと止まり、

「わたし、ミュウ!」

……突然見せた満面の笑顔に驚いた。

ですが、まさかそれは本名ではありませんよね?

「いえ。できればフルネームを……」

「ミュウミュウ!」

さっきと変わらない無垢な笑顔をこちらに向けてくる。

……この家に上がる時、【愛夢】と書かれている表札を見たことを思い出した。

まぁ、いいでしょう。後で証明書か手帳か何かを盗み見てやれば済むことです。

「……こほんっ、ではMsミュウさん?ワタクシに名前を付けてはくれませんか?」

「ぬいぐるみちゃん、お名前ないの?」

「ハイ」

私が言うと考える様なそぶりを見せ、

「ん~と、じゃあナイト!」

言われるがままにされているのもシャクだと思い、

「それは何か特別な意味があって言っているんですか?」

「ううん、夜にみつけたから」

……なんて安易なっ!

もう少し考えてはくれませんか!?

「……イヤ?」

「いいえ」

こんなちいさな女の子にそれは無理なお願いですね。潔く諦めましょう。

「じゃあ決まり!キミは今日からナイトだよっ!!よろしくね。ナイト~♪」

こうして私は彼女の【ナイト】となった。



結局、夜が明けても彼女の家族は帰っては来なかった。

私は何日かをこの家で過ごした。

彼女が私の名前を呼ぶ。

彼女が私を抱きしめる。

彼女が私の頬にキスをする……。

ただそれだけのことなのに、

……とても嬉しかった。

きっと幸せってこういう気持ちかもしれません。



……だが、

そんなささやかな幸せも、長くは続きませんでした……。






◆つづく◆


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追憶~【ユメノ・ナイト】~3

イルミネーションの光に照らされた、彼女の瞳が揺れている……。

哀しげな横顔が、儚くも美しい……。そう思ってしまった。

そういえば、家には彼女以外誰も居ないようだった。

こんな夜にこんな小さな女の子を独り残して、家の者は何処へ行ったのだろうか……。

彼女が私の体をキツく抱きしめる。

……苦しい。

小さな体が震えている。

ポタ……

私の体に何かひと粒の熱い雫がこぼれ落ちてきた。

彼女の涙だった。

「……ゴメンね。すぐになおしてあげるからね」

気がついて急いで涙を拭い、恥ずかしそうに彼女は笑った。

――ゴソゴソ。

クローゼットの中からソーイングセットを持ち出してくる。

「えっっと……」

おぼつかない手付きで針に糸を通し始める。

……逃げたい。強くそう思った。

「ちょっとガマンしててね~」

ガッ!と体をわし掴みにされた。

終わりだ……。

私もここまでか。

私はまぶたをとじた。



―――チクリと感じたのは一瞬だった……。

すぐに体は暖かさで満たされていった。

とても優しい、不思議な気持ち。

ふわふわとして何か心地よいものに包まれているような気分だった。

心に甘くていい香りを吹き込んでもらったような気がした……。

ちぎれた耳を繋げてもらい、ワタも沢山詰めてもらった。

背中の羽はきっと白だろうからって、新しく天使の翼を付けてくれた。

……お世辞にも上手いとは言えないけれど。

何故だかとても嬉しかった。

それから首に綺麗な赤いリボンを結ってもらい、頭にキラキラした王冠ものせてもらった。

なんだか誇らしげな気分だ。

私は腕を動かしてみた。

……動いた。

今度は脚を動かしてみる。

動く。

「……あれ?」

不思議そうな瞳で彼女が見つめている。

私はくるりと舞い、彼女に挨拶をしてみせた。

「ボンジュール。お嬢さん」






◆つづく◆


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追憶~【ユメノ・ナイト】~2

見知らぬ少女は、私の体を包み込むように抱きかかえた。

小学生くらいだろうか。髪をふたつ結びにした、とても小さな女の子だ。

こちらを覗き込んでいる。

「おうちにくる?ぬいぐるみちゃん」

優しく微笑みかけてくる。が、返事をかえしたくても声が出ない。

「いっしょに行こうねっ」

なし崩し的に彼女の家へつれて行かれることとなった。



バシャーーー

家に着くなり熱湯のシャワーを浴びせられた。

とても熱い。熱すぎる。熱くて体が痛い。

「ええと、せっけんせっけん……」

私の体がみるみるうちに白い泡に包まれていく。

「じっとしててね~」

そう言われても動けない。

「ぬいぐるみちゃん、黒かと思ったら白なんだね」

おかげで体の汚れは真っ白に落ちていた。

ブオーーー

ふわふわしたタオルに包まれながら、今度はドライヤーをかけてもらう。

これまた熱い。だが、抵抗したくても体が動かない。ただのぬいぐるみの様にされるがままになるしかなかった。

「乾いたら、やぶれたところも縫ってあげるねっ!」

嬉しそうに笑う。

……その言葉に背筋がゾッとした。

彼女は私を抱きかかえると、トントンと2階へと続く階段を上がっていく。

どうやら彼女の部屋らしい。

中に入ると……ギョッとした。

カーテンもピンク、ベッドもピンク、家具もすべてピンク色だった!なんというか……乙女チックな部屋だ。

可愛いぬいぐるみ達も沢山飾られている。

思わずその者達と自分の出で立ちを見比べてしまう。

場違いもいいところだった。

ぬいぐるみ達はみんな、華麗なドレスやキラキラしたアクセサリーを身に着けている……。

なのに私の体はボロボロでこんなところに居ていいものかと、急に居心地が悪くなってくる。

――そんなことを考えていると、ふと、窓辺に置かれている小さなツリーに気がついた。

チカチカ光る色とりどりのイルミネーション。

汚れきった私にとって、

あまりに美しく感じられて……

目が釘付けになった。

「……綺麗でしょ?……今日はクリスマスイヴなんだよ……」

……彼女の瞳が、ユラユラしていた。





◆つづく◆


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追憶~【ユメノ・ナイト】~・白兎

……暗い闇の底から目が覚めた気がした。

遠くのほうでかすかに、人の笑い声と楽しげな音楽が流れているのが聞こえる。

そっとまぶたを開くとそこには満天の星空が広がっていた。

まだぼんやりとして横たわったまま、あたりを見渡す。

地面はゴツゴツしていて、薄暗くてよく見えない。

ここは何処なのだろう……?

周りに人の気配はない。

遠くにチラホラにぎやかそうな光が点灯しているのが見えた。

「う……」

しばらくして、自分の体が動かせないことに気がついた。

起き上がろうとするが、起き上がれない。

しかも、体じゅうが痛い。それにすごく寒い。

そうこうするうちに、薄暗さに目が慣れたのか視界がだんだんハッキリしてきた。

バタバタともがき苦しむような格好で懸命にあたりを見渡す。

「…………」

……はじめて自分が今置かれている状況を理解した。

辺りには一面山のように、ぬいぐるみやビスクドール、シッターロボットたちの残骸がころがっていた。

さっきの地面のゴツゴツは、この者たちだったのか……。

きっと役に立たなくなったか、不必要になって捨てられたのだろう。

だが自分も同じだ。

私は一見、うさぎのぬいぐるみのような形をしている。

もっとも、耳はちぎれ、背中に生えていたらしい翼もすすけ汚れて、もはや何色だかわからない。その上ワタもとびだしてしまっているが。

……今までニンゲンに傷つけられた記憶が走馬灯のように駆け巡る……。

不思議と、憎いだとか悲しいという感情は湧き上がってはこなかった。いや、それほどまでに疲れていた。

私はもう……。

少しずつ視界が薄れていく。

静かに瞳をとじようとした。

―――だが。

自分の体が、ふわりと浮いた気がした。

……暖かくてやわらかい……それになんだか甘くていい香りがする……。

「うわぁ。かわいいぬいぐるみちゃん!」

少女の瞳が目の前にあった。





◆つづく◆


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