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闇王子と人形姫の不思議な鏡迷宮【夢現三時】

しばらく商店街を歩き回っていると、ふと、通りかかった店のショーウィンドウに目がいった。

ナイトはとても綺麗なキラキラしたブローチを見つけた。

色とりどりの美しい宝石が沢山飾られている。いつもなら通り過ぎてしまうだけの、値段の高いジュエリーショップだった。

店のドアを手で押すとカランカランとベルが鳴り、簡単に開いてしまった。 でも住人は居ない。

後からミュウとメアリも店内に入って来る。 「おい、いいのかよ?勝手に……」

つっこむメアリに目もくれず、ナイトはウィンドウに飾られていたブローチを手に取る。

「ミュウ様、これを……」 それをミュウに差し出す。 「え? ミュウにくれるの??」

「ハイ、以前身に付けてらっしゃった物と形がよく似ているので。 あれは死神に奪われてしまいましたし、代わりという訳ではありませんが……ワタクシからのクリスマスプレゼントです」

よく見ると宝石の中に小さな星形が浮かんでいた。 「わあ、かわいい……」 ブローチを受け取るとミュウは微笑んだ。

「ありがとうナイト! ミュウ、前に持ってた物よりもこっちのほうがずっと好き!」

それって窃盗罪だろ……そんな物くれてやるなよ。 しかも喜ぶなよ、ミュウ。

煙草を吹かしながら、呆れ顔でメアリは何も言わなかった。

ボタンが開いて無造作にリボンタイが付いているだけの胸元に、ナイトは手を掛ける。

「ふええっ!? ナイト?ミュウ自分でできるよ!?」 突然、ボタンを閉められリボンを整えられてミュウは真っ赤になってしまった。

「嘘デス。言おう言おうと思っていましたが、いつもリボンの結び方が間違っているのですよ?」

「え……あう……」 そうだったのかと慌てて硬直するミュウ。

「ちょっと大人しくしていてください」

……ナイトにリボンを結んでもらうなんて、とても不思議な感覚だった。 いつもなら自分がウサギの姿のナイトに、リボンを結んであげるのに……。

そんなふたりのことを傍で見つめていたメアリは、お邪魔かとそそくさと店を出て行った。

「……申し訳ございません。 ちゃんと守れなくて」 「え?」

ミュウから貰ったクリスマスプレゼントは瓦礫の下に埋もれてしまった。

「姫をお守りする王子なのに、ミュウ様をお守りするナイトなのに……」 少し哀しげに微笑むナイト。

メアリは歩きながら、ナイトのミュウへの呼び方が変わっていることに少し違和感を覚えた。

ミュウ様……。

それはふたりの距離が縮まったということなのだろうか? それとも逆に――。

ブローチを留めてリボンを整えると、ナイトは真っ直ぐな瞳でミュウを見つめた。

その顔は、激しい焦りと脅えでいっぱいに染まっていた。

「ミュウ様、ワタクシは……本当は――」 ナイトの震えが伝わってくる。

ミュウはにっこりと微笑んで、ナイトの手を握った。

「行こう。 メアリが外で待ってるよ」

その続きは言わなくていい……。 無言の合図だった。

ふたりの間に少しの寂しさが残った。 けれど、ただ繋いだ手の温かさが嬉しかった……。



店を出ると、丁度メアリが向かいの店から出てきた所だった。手にパンを抱えている。

ベーカリーショップ。 そういえば昨日の夜から何も食べていない。三人とも、とてもお腹が空いている。

「窃盗罪じゃないデスか~?」 ジト目のナイト。

「しょうがないだろ。腹が減っては戦はできんだろうが」 お前に言われたくない、とメアリ。

自分はカレーパンをくわえながら「ほれ」とナイトに、イチゴジャム餡バターメロンパンという物を渡す。

「イチゴっ!!」 カッと目の色を変えて跳び付くナイト。

ミュウにはウサギの顔の形をした、チョコレートの菓子パンを渡した。

「あっ、メアリだ!」 「は?」 「このウサギさんの顔、メアリに似てるね!」

顔にチョコレートソースがかけてある、なんとなく黒いウサギに見えるパン。

「べ、別に……っ」 少し恥ずかしくなって、そっぽを向くメアリ。

と、匂いに釣られてかメアリの胸ポケットから、ハートさんがひょっこりと体を出した。

「みぃ~」 ふよふよ三人の周りを飛び回るハートさん。 「もしかして、お腹がすいてるのかな?」

「なんだよ、お前の分はないぞ」 無視してパンにかぶりつくメアリ。

「じゃあ、これ、あげるね」 ウサギの耳の部分をちぎって差し出す。 「み?」

ハートさんは不思議そうに、ミュウの顔とパンの切れ端とを交互に目を上下させる。

しばらくミュウの顔を見つめると、ハートさんは嬉しそうにふわふわな笑顔になった。 「みぃっ♪」

とりあえず、腹を満たした三人と一匹である。

……すると、メアリが切り出した。 「……なあ、サイコロを振ってみるか?」

「それはこのナイトメア・メイズのゲームの続きを進める、ということデスか」 イチゴジャムでベタベタになった口元と指をペロリとしながらナイト。

「ああ。 このゲーム、途中で止めたりしたら死ぬんだろ。 それだけは御免こうむりたいからな」

「そうデスね。もう道はそれしかありません」 何故だか口元がニヤリと笑んでいる。

気が付いてはいたが触れず、メアリは抱えていた鞄を降ろしそれを開けて地面に広げる。

ボードの上に1コマ進んだナイトの人形だけが不気味に浮かんでいる。

「次は俺の番でいいな?」 ミュウの様子を気に掛けてメアリ自ら名乗り出た。

紅い本を片手に、端に置かれていた黒い賽、パラ・ダイスを手に取る。

「もう、何が起きても驚かないようにしないとな……」 鞄を囲むように見下げて、三人はゴクリと息を呑んだ。

……ナイトとミュウはお互い何も言わずに、どちらからとも無く触れた指先を、そっと繋いだ……。

メアリは一度瞳を閉じると、呼吸を整え決意を心に固めると、再び強い眼差しで口を開いた。

「じゃあ、始めるぞ……」

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