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闇王子と人形姫の不思議な鏡迷宮【夢現四時】

メアリの投げたダイスは【六】の目を指していた。

「よしっ、けっこう進めるな!」 メアリは小さくガッツポーズをしてみせた。

すると、ボードのスタート地点にメアリそっくりの小さな人形が浮かび上がった。 ナイトの人形を追い越して、ゆっくりと六マス目まで進んで行く。

やはり、こういうことか。 サイコロを振ると自分そっくりの人形が現れてゲームを歩み始める、ルールなのだ。

メアリは紅い本に目を向ける。 新しい文字はまだ何も書かれていない。

「……何も起こりませんね」 ナイトがちろりとメアリに目線を向ける。

「そうだな。 もしかして事が起こるまでには時間がかかるのか?」

「ちょっと、待って……」 ミュウが何かを感じて、耳を澄ませる。 「なにか聞こえる……」

間も無くして、地面が小刻みに揺れ始めた。 「何だ?また地震か?」

ナイトも耳を澄ませてみる。 「いや、地震とは違う感じがします……これは何か、別の――」

「ナイト、こわいよう……」 ミュウが震えながらナイトの腕にしがみ付く。 ハッとして気が付いた。

「――メアリ!これは振動です!」 「振動って何のだよ?」 「分からないですが、何か……」

そう、 音がだんだん近づいてくる……何かとても強大なものが動いている……。

ハートさんがすぐ傍でオロオロと飛び回っている。けれど、いつものように胸ポケットには入ることはしなかった。

そしてそれを見たメアリも、ざわめく嫌な気配を感じ取った。揺れが一層激しくなる。もう既にそこまで……。

「おい、マジ勘弁してくれよ……っ」 急いで紅い本をしまい鞄を背負う。

「――何か来るぞ!!」

叫んだ瞬間、メアリの足下――巨大な長い機械のような何かが地面を突き刺した。

擦れ擦れで避けきるが重圧で跳ばされる。 が、なんとかして体勢を整える。

見上げると空一面、まるで鉄格子に覆われたような、鳥籠の中にでも捕らわれたかのように、

巨大な蜘蛛の如く長い数本の手足が伸び、異常な姿を模った生物が不気味にメアリを見下ろしていた。

これは――、「人形……?」

機械のような蜘蛛のような身体の中心にはビスクドールのような顔がある。

一匹には留まらず、次から次へと群がり人形たちはメアリを取り囲んでいく。

息をつく間も無く、無数の手足がメアリの体を刺そうと向かってくる。 それをかわしながら、メアリはふたりの様子が視界に入った。

ナイトはミュウをかばうようにして守っている、ハートさんも傍に居る。が攻撃は受けていないようだ。

そうか、狙いは俺か……。

攻撃を避けているうちに、いつの間にかナイトたちと距離が引き離されてしまった。

もしかすると自分たちを二手に分ける罠なのかもしれない。 ナイトと目が合う。

「ナイト! ミュウをつれて逃げろ!」 「!?」 「俺はいいから、ここを離れろ! 早く!」

「ふえ……メアリ……」 ミュウが泣き出しそうになる。 隣りでハートさんもつぶらな瞳をウルウルさせている。 

「ミュウ様、大丈夫です。 ここはメアリに任せて一旦身を引いたほうが良さそうです」

ふたりは手を繋いでその場を離れようとする。 ナイトが半分だけ振り返る。

「メアリ……必ず貴方も後から来なさい。 これは命令デス、貴方はワタクシたちの下僕なのデスから」

「わかってるよ、早く行け」 メアリは手を上げて拳を握り締めて合図した。

ふたりは背を向けて駆け出した。 ハートさんも後からアセアセと付いていく。

姿が見えなくなったのを確認し、走って行った方向を見つめたまま人形たちには背を向けて、

「そんなに俺が好きか……?」 ぽつりと呟いた。

すぐに巨大な長い腕が向かってくるが、するりと宙を舞い避ける。 「愛されてるなぁ、俺……」 それは人形たちへの問い掛けだった。

走りながら、商店街の一番高そうな建物を選び、屋根の上に跳び乗る。

それでも視点はお互い同じくらいの高さだが、ここからなら人形たちを一望することができる。

「……いい歳こいて、お人形さんゴッコか……笑えるぜ……」 メアリは小さくため息をついてから、笑みを浮かべた。

「いいぜ、少しだけなら遊んでやっても」 人形の瞳は感情の無い機械の塊のまま、こちらを見つめている。

だから、メアリは優しく手を差し伸べた。

「……こっちへ、おいで」


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