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不思議な鏡迷宮【神アカシ篇】ページ6

いつものように僕は大棟梁専用デスクに着く。それは生徒会執行部、定例会議開始の合図である。

でも、その前に――。
デスクの隣りに恐縮しながら直立している生徒会・書記&雑務を務める少年、旗屋敷在廻(通称・アル)に視線を送る。

「アル、ホットチョコレート淹れてくれる? 甘くしてね」

「はっ、はひぃっ;;」

アルはビクンッと脅えるように反応した。

「あ、あたしもレモンティーちょうだい♪ 砂糖抜きにしてね、ダイエット中だから」

会計で、学園理事長の孫娘・凛胆寺朔耶(通称・お嬢)が言う。

「余は緑茶を頼むゾヨ。 渋めで」

副会長の鳳仁(通称・若頭)。お寺の息子で古風な喋り方をする。

三人からの命令でアルは急いで注文の飲料を準備した。

僕とお嬢の目の前にティーカップが置かれる。
が、急ぎすぎたのが悪かったのか、若頭にお茶を運ぼうとした瞬間、何もない絨毯の上で足下がもつれた。

「あうっ!? あわわわわぁっ;;」

すでにトレイが宙を舞っていた。湯呑みが傾く。

椅子に腰掛けたままの体勢で、若頭は何事もなかったかのようにトレイと湯呑みを片手にのせると、そのままアルの体も受け止めた。

「大丈夫か? 気をつけるゾヨ」

「はひっ! ごごごごめんなさひぃっ;;]

若頭の膝の上で慌ててジタバタするアル。

「ほう? 茶柱が立っておるゾ。 茶柱が――」

見ると若頭は青ざめた。
湯呑みの中には茶の茎が千本柱のようにビッシリと埋め込まれていた。

「ちょっとアル! なにこれ!しょっぱくて飲めないっ!」

お嬢がティーカップ片手に叫んでいた。

「その……砂糖はダメだと言われたので、代わりにお塩を……」

「ヘンな味付けしないでよーー!!」

僕はというと、牛乳の中にブロック状のチョコが浮いているだけの飲み物に口を付ける。

「……ニガイ」

よくある光景だった。



気を持ち直して会議を本題へと進める。

「みんな、報道部が流したスクープはもう知ってるよね?」

報道部から貰ってきた写真を皆に配る。

「うんうん! まっさか、夜の魔術師がこんな金髪美少年だったなんてねっ! あたし好みかもぉ♪」

お嬢には少し変わった趣味があるらしい。よく分からないけど。

学園を苺まみれにしたと思われる人物、夜の魔術師と呼ばれている者の正体は、煌びやかな衣装に身を包む美しい外国人のような少年だった。

「そのことなんだけど……」
ため息をつきつつ続ける。
「僕、この子のこと、知ってるんだよね……」

「えっ!?そうなの? で、誰なの?この子!」

「……知らない」

「……はっ?」

「いや……その、なんていうか見た瞬間に感じたんだよ。 この子知ってるって。
でも誰だか思い出せなくて……」

「それって顔は見たことあるけど名前は分からないってこと?
だったらもしかしてこの子、うちの学園の生徒なんじゃない? なんだか服も変装してるっぽいし」

写真の少年は仮面を付けていて目元はよく分からないが、鼻筋と口だけでも綺麗な顔立ちをしていることが見て取れた。
でも、見たことがあるというのとは少し違う気がする。

「もしさ、この金髪がカツラで男装とかしてたりしたら、男か女かも年齢も怪しくなるよねぇ……」

「え~っ、そんなぁ!イヤよぉ……」

「それは無いゾヨ」
唐突に若頭が口を挟んでくる。
「あら、どうして?」

「余はこの学園の全生徒の顔と名前を把握しておる。
髪も本物で性別も幼い男、これだけの写真を見れば分かる。
よってこんな国籍不明の金髪少年はおらぬゾヨ」

「やったぁ!金髪美少年~♪」
「へー、若頭すごいね」
そう言うと若頭が睨んだ。

「ゴッドファーザーよ」

若頭は何故か僕をゴッドファーザーと呼ぶ。修道院で神父様のお世話になっているからかもしれない。

「お主はこの学園の大棟梁であろう?そんなことも分からぬのか? 戯けが」

僕は引きつった。ふつふつと怒りが込み上げてくる。

「ああ……ゴメンねぇ。僕、キミと違って記憶力悪くて……」

「いいや、それは違うゾヨ。
テストや成績では主がいつも一番、余はいつも二位……主がいるせいで……主がいるせいで……」

逆恨みなのか何なのか、若頭は何かにつけて僕に突っかかってくる。嫌なヤツだ。

「余の見解では学力だけでなく、頭の回転も速いはず……。
憶えられないのではなく、憶える気がないのではないのか?ゴッドファーザーよ!」

……図星を付かれた。

「ああ……そうだよ……大体そんなの憶えなくたって大棟梁の座は務まるしね。 悔しかったら奪ってみれば?」

わざと大袈裟に振舞って脚を組む。
「まぁ、この席は絶対に譲らないけどぉ」
鼻で笑ってやった。

僕と若頭が睨み合う。その間にアルが割って入ってきた。

「ふたりとも、ケンカはよくないれす……やめてくらさひ;;」

ガタガタ震えて、あまり止められる効力は無かった。

「ねえ、学園の生徒じゃなかったら、この辺に住んでる子じゃない?」

お嬢が写真を見ながら言う。

「あ、そういえば角のコンビニの店員に似てるかも?」

僕も写真を覗き込んで考える。

「ええっ?やめてよぉ、違うわよぉ! たしかに金髪だけど、アレは非行少年でしょぉ?」

「う~ん、違うかぁ……」
「そうよ、だってこの写真の子は外国の王子様って感じだもの♪」
「へー、外国ってどの辺り?」
「そうねぇ、イギリスがいいかしら、紳士的で♪」
「へー」

「……ゾ……ゾゾ……ゾーーーーヨーーーーーー!!」

「うひあわうわああああああっっ!?」

痺れを切らせて叫びだしたのだろうか、その若頭の声に驚いてアルが飛び上がった。

「なんだよ、若頭。 急に奇声上げないでよ、ビックリするじゃないか(アルが)」

アルは瀕死のごとく白目を向いて床にへたり込んでいた。

「悪霊ゾヨ……」

『悪霊?』

お嬢と僕の声がそろう。


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