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不思議な鏡迷宮【神アカシ篇】ページ10

僕と若頭は、夜の魔術師を捕まえるべく罠を張ることにした。

もちろん今度は、学園内に生徒も教員も誰一人残っていない状態とする。僕と若頭のふたりだけだ。

若頭は相変わらずあの少年を悪霊だと言うが、僕にはもっとタチの悪いものに思えた。ただの人間でないことは確かだろうけど。

それに――。 【お兄ちゃん】……。 あの言葉が胸に引っかかる。

単純に、僕が年上のお兄さんだからそう呼んだのか。 それとも――。

僕をお兄ちゃんと呼ぶのは修道院にいる弟と妹たちだけだ。 もちろん、あんな少年が修道院にいるはずもない。

窓の外を眺めて思った。 たしか、今日は満月だったな。



……そして、しばらくして夜のとばりが落ちた。

静寂を破って、リンと学園内に音が響いた。見えない糸に鈴を付けて学園中に張り巡らせておいた。

それに掛かった、夜の魔術師が侵入してきた合図だ。さらに一度入ったら出られないように強力な結界を張ってある。

姿は見えないが、僕と若頭はチリンチリンと音のするほうを追っていく。音は上へ上へと向かっている。

どうやら、むこうも罠に気が付いて逃げ回っているようだ。このまま進んでも、もう……そこに逃げ場なんて無いのに。

僕たちは、立ち入り禁止の紐を切って、屋上へと続く扉を開いた。 そこに、立ち尽くす少年の姿があった。

不気味なほど巨大な満月に照らされて、暗闇の中で碧光りするように、ぼんやりと浮き上がっていた。

……ついに、夜の魔術師を追い詰めたのだ……。


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