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不思議な鏡迷宮【神アカシ篇】ページ11

夜の魔術師である少年は、結界の中で明らかに弱っていた。 仮面の下から焦りの表情が窺える。

「もう逃げ道は無いゾ。 観念するゾヨ!」  迫り寄る若頭に、鋭い敵意の形相を向ける。

少年は背中に蝙蝠のような翼を広げると、目にも留まらぬスピードでこちらに向かって飛び掛ってきた。

――瞬間、若頭の首筋から血が噴き出した。

「若頭っ!?」  若頭は前を見据えたまま首を押さえる。  「……ゴットファーザーよ、気をつけるゾヨ。 ヤツは血を吸うゾ」

「ううっ……血が……血が足りないぃ……」  少年は小さく呻きながら、地面にへたり込んだ。

「血を吸うって……もしかして、吸血鬼とか!?」  「吸血鬼……いや、鬼ではないなアレは」  けど、あの少年が異形の者であることは確かだろう。

「ねえ……」  恐ろしくなって僕は尋ねた。  「小説とかだとさ、吸血鬼に血を吸われた人間は吸血鬼になっちゃうんじゃあ……」

「ならぬゾヨ」  それは根拠の無い返答だった。 でも――。

「なるのは弱い者だけゾヨ。 余は強い、よって絶対にならぬ」  満月を背景に後光が射しているかのように見え、どこか頼もしく思えた。

「大体、除霊中に相手に噛まれるなんゾ、日常茶飯事ゾヨ!」  そんな日常は嫌すぎる……。

若頭は意も介さず、少年のほうへ歩み寄っていく。 どうするのかと思っていると、少年の左腕を掴んだ。そのまま上へ引き上げる。

「――何をするのデス! 放しなさい! この……無礼者めっ!」  宙に放り出された状態で、暴れて抵抗する。

……が、少年の悲鳴が上がった。  「やめ……っ」

蔑むべき者でも扱うように、少年の服を所々引き裂いていく。 体中を取り調べるかのように見ていく。

破れた服から、首元や腕の関節があらわになっていた。 ……それはまるで人形の身体のようだった……。

「等身大ビスクドール、といったところか、西洋の……。 極めて気色が悪いゾヨ! こんなものを造る者の気が知れぬ!」

少年があまりに暴れるせいか、肩の関節がミシミシと音を立てて腕がちぎれた。

身体が地面に激しく叩きつけられる。 同時に肩に乗っていたウサギも転げ落ちてしまう。

「痛いっ……腕が! ワタクシの腕があっ! 痛いぃっ!!」  紅い液体が流れ出す。

「擬似体液、か。 痛みまで感じるのか……。 あわれゾヨな」  若頭はそれを冷たい瞳で見下ろしていた。

「ううっ……ヴァニラ……っ」  這いつくばった状態でウサギのほうへ右手を伸ばす。が、届かない。

それを若頭がすくい上げる。ウサギの身体が力無く、だらりと垂れ下がる。

「ああ、駄目ゾヨな、これは。 死んだ」  「ヴァニ……っ」  少年は絶望の表情と共に、地面に頭をつけた。

……それは、とても嫌悪感のする光景だった……。

悪霊だ人形だのと言われても、はたから見ればただの残虐的な暴力シーンだ。

若頭が僕のほうへ向き直る。 そして、衝撃の言葉を放った。

「ゴットファーザーよ、こいつは主が除霊しろ」  ――僕は言葉を失ってしまった。

「和のカラクリであるなら余が除霊してもよいゾヨが、余はこういった洋モノが大嫌いでの」  あの少年はもう、ほとんど悪魔の類に近い。

「どうした? まさか出来ぬ、という訳ではないのであろう? 神父の元で世話になっておきながら」

……そっと、自分の胸元に付けている十字架に指で触れる。

人に害を及ぼすようなら、こちらも消滅させるつもりで相対しなければならない。 暫しの沈黙の後、ため息をついて答えた。

「……わかったよ、若頭」


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