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軌跡~【メアリ・ロード】~6

「ここまで来れば……もう大丈夫のようですね……」

ガーディアン達の手を逃れ、俺達はひと気の無い港の方まで来ていた。

一瞬、酩酊はしたものの、俺はなんとか意識を失わずに済んでいる。

空はいつの間にか薄暗くなり、夜のとばりが下りようとしていた。

それに合わせるかの様に、ナイトの髪が白く輝きを増している。

「ナイト、お前……」

「大丈夫ですよ。急所は外していますので、死んでません」

俺が問い掛けるよりも早く、前髪を右手で押さえながら、こちらに目をやる。

碧かったはずの瞳が紅く光っている。

いや、聞いてないし。

ふざけているのか……?

「そうじゃない、お前のその髪と目――……」

ナイトが髪を摘みながら、

「ああ、コレですか?……力を使ったり、夜になったりすると自然と光っちゃうんですよね。それが何故かはワタクシにも解りませんが……何か問題でも?」

軽く笑いながら、大きな瞳をギョロリと動かす。

――……。

背筋にほんの少し寒気が走った。

また嫌な予感が胸を襲う。

「ナイト、お前まさか―――」

「……ナイトは雪うさぎさんだから……」

ミュウが俺の声をさえぎるように呟いた。

「月からやってきた王子様だから」

うつむいていて顔はよく見えない。

「だから髪が光ったり、目があかくなったりするんだよ」

そう言うとミュウは顔を上げ、少しだけ寂しそうに……笑顔を見せた。

潮風を受けて、

見惚れるほどに綺麗で……切なそうで……

……俺はまた、なんだか不思議な気持ちになり、顔が赤くなってしまった……。

恥ずかしいのか、ナイトは俺たちに背を向けた。

ミュウは、ナイトの髪はお月様で、瞳は白いうさぎさんみたいだと言った。

気が付くと、うっすらと空に満月が出ていた。だんだんと夜の闇に包まれて強く輝き始める。

大きなお月様と、小さなお月様のふたつ……。

本当に月の王子様かもしれない――なんて馬鹿なことを思いそうになる。

……ミュウがナイトの傍に歩み寄り、そっと手を繋ぐ。

影が重なり合う。

俺はそんなふたりを見つめながら……

……何故だか胸がズキンッと痛んだ。

?   どうしてだ……?

……また意識が薄れそうになる……眠い。……とても眠い……。

…………

ブオオオォーーーーーーン!!

突然の強烈な音になんとか意識を取り戻す。

「!?」

音のしたほうへ目をやると、沖合いから遊覧船が俺達のほうへ迫って来ていた。

船体が態勢を崩し、逃げ惑う乗客たちの姿が見えた。

海面が吹き上がる。船が汽笛を上げる。

港に激突寸前の処まできていた。

……ミュウは驚きのあまり、体が動かない。

「ナイトッ!!」

俺はナイトに叫び掛ける。

――だが、

……ナイト……?

ナイトは船のほうを見つめ、立ち竦んだまま動こうとしない。

――っ馬鹿野郎!!お前まで何ボーッとしてやがる!!

お前くらいの奴なら、さっきの魔法のような力で何とか出来るだろうが!!

まずい……このままでは3人とも……。

船はもう目の前まで迫っている。

俺はただのうさぎのぬいぐるみで……どうすることも出来ない。

誰か……!!

誰か!!

――……誰か――?

……その時、自分の体がドクンッと音を立て、どんどん熱くなっていくのを感じた。

俺の体が……変わっていく……?

――!?

一瞬だけ自分の大きな腕を確認することができた。

もう迷っている時間はなかった。

俺は混乱しながらも、無我夢中でナイトとミュウの体を抱え上げ、横へ跳んだ。

瞬間――背中に黒い翼が生えて、空を翔け上がったように思えた。

月光を浴びて宙に舞う、黒い影。

俺は……もとの姿に戻ることが出来たのだろうか……?

……だがそれは、ひと時の幻影で、俺に掛けられた呪いは不完全な状態で解けていたのだ……。



なんとか激突は回避して、免れることができた。

遊覧船は少々破損したものの、乗組員や乗客たちも命に別状は無いようだった。

もっとも、事故の衝撃でミュウは気絶してしまい、ナイトは瞳を見開いて俺を凝視したまま微動だにしない。

当たり前か……。あんな馬鹿みたいなうさぎの姿から一変して、黒装束の長身なやたらと目つきの悪い男性になったのだ。

……さあて、どうしたもんか……。

俺は引きつって笑うしかなかった。

とりあえず、問題は山積みのようだ。





◆つづく◆


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