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~星ワタリ篇~【朧月夜・夢現壱光年】

終わりなど来ないかのような真っ暗な谷底……。

自らの意思で落ちていったナイトを探すために、メアリはミュウを背中に抱えてゆっくりと下っていく。

ところが、いくら進んで行っても一筋の明かりさえ見えない。

代わりに、崖の途中で洞窟を発見することができた。 ミュウの体調も考えてひとまずはそこで休むことにした。

ただの横穴のようで奥には道も続いていない。人がいた形跡も無い。

メアリは暖をとるために火を起こす。

「あのね、メアリ……」

メアリの傍にミュウはちょこんと腰をおろした。

「ナイトはきっと生きているよ」

……。

「ミュウにはわかるの」

祈るようにミュウは虚空を見つめた。

「だって、ミュウは今こうしてここで生きているから」

――。

とても綺麗な笑顔を浮かべているのに、メアリには何故だかそれがとても恐ろしい何かに思えてしまった。

「だからナイトも、この世界のどこかで生きているよ」

「……だろうな。あいつは殺しても死なない。それに」  「え?」

「ナイトならミュウを守るために、この世界の神でも殺すだろ」

自分でもなんて恐ろしいことを口にしているのだろうと思えた。

けれどきっとこれがミュウの――、いや俺たちの【創造】するナイトだ。

「だから、みつけよう。俺たちふたりで、ナイトを」

「うん!」



「こっちにこいよ」

急にメアリはコートのボタンを開けて促す。 ミュウはビックリして真っ赤になり固まってしまった。

「阿保か! 冷えるからもっと傍で眠れって言ってるんだ!」 メアリもつられて赤くなる。

「だいたい俺はお前らの保護者なんだし、ミュウに何かあったら俺がナイトに殺される」

メアリは強制的にミュウを自分の胸に抱き寄せた。

ほんのり煙草の匂いがして、あたたかかった。 「ありがとう……」

ミュウもメアリの胸にそっと顔をうずめる。自然と涙が頬をつたっていた。

ナイトがみつかるまでは代わりに――。

メアリは棺型の鞄に目をやる。

ナイトメア・メイズの駒は一回休みの状態のまま止まっていた。

「俺がミュウを守ってみせるよ」




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