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†††闇王子と人形姫の不思議な鏡迷宮†††【夢十一夜】

ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン……。

静寂に包まれた部屋の中で、唐突に何処からともなく鐘の音が響いた。

「アァ……もう時間だァ」

ファントムは気が付いたように虚空を眺めた。まだ腕にはミュウを抱いている。

「に、逃げる気か?」

「……逃げるゥ?人聞きが悪いこと言ってくれるネェ」

とても嫌な感じでメアリに言い返す。

「ボクは一日24時間の中で、わずかな間しかこの世界に姿を現すことができないんだァ……。 だから次にキミたちに逢える時はこの世界の時刻で、今から約23時間後くらいになっちゃう……カナァ☆」

「ちょっと待て!?そんなこと聞いてな――」

「だって言ってないモン」 無視して、

毅然として鋭い瞳のまま立っているナイトに、ふわりと歩み寄る。

「そうそう……ナイト、キミに渡したい物があったんだァ」

ナイトの小柄な背丈に合わせて腰をかがめる。

「キヒヒ……」 そっと指先でナイトの頬に触れて、不気味に笑う。それでもナイトは表情ひとつ変えない。

そして掌を広げてキラリと光る物を取り出した。

それは、金の懐中時計だった。

動けないナイトに、動こうとすらしないナイトに、頭からチェーンを通して首に掛ける。

ほんの一瞬だけ眩しく揺れ、懐中時計はナイトの胸元で誇らしげにカチコチと時を刻む針を動かしていた。

真実の刻を知らせるように……。この世界で迷子になってしまわないように……。

「ウン……やっぱり、よく似合ってるネ」 まじまじと見つめる。

「コラ、無視するな!!」

「だってそれは、元々キミの物だもんネ」

――――。

ナイトは無言のまま少しだけ表情を歪めた……。

「な……っ!?」

「じゃあ、ボクはもう還らないといけないから」 驚くメアリをさらに無視する。

「餞別に、コレを貰っていくネェ……☆」

ミュウの胸元に付いているブローチを取り外し、ミュウの身体を腕から解き払う。

ブラウスの胸元が広がり真っ白な肌があらわになり、ミュウの体は地面へと崩れ落ちていく。

「キミたちが何処までヤレるのか楽しみにしてるヨ。……また遊ぼうネェ、白兎クン黒兎クン☆ バイバァイ……」

空間にひずみが生まれ波紋を残しながら、死神ファントムは姿を消した……。

赤い霧も少しずつ晴れていく。

ファントムが消えたことで重圧感が無くなり、ナイトとメアリは体の自由を取り戻した。

「うぅ……っ」 力が抜けて、ナイトはよろりと体制を崩してしまう。

「ミュウ!!」 メアリが急いでミュウの元へ駆け寄る。

両腕を広げて間一髪の所で、なんとか受け止めることができた。

「ミュウ!! おい……ミュウ!!」 ミュウの体を揺さぶる。

「……ん……っ」 まぶたが微かに動いた。

「メアリ、ミュウさんは……」 ナイトもおぼつかない足取りで歩み寄る。

「気を失ってるだけみたいだ」

するとミュウが身を震わせて、ゆっくりと目を開いた。

「……メアリ?」

「ミュウ……」 メアリはホッと肩をなでおろした。

「あれ……ミュウどうして……」 まだぼんやりとしている瞳をこすりながら、声のするほうに目を向けた。

「ミュウさん、良かったです。どこかお怪我は――」

ナイトは言いながらミュウに手を伸ばす。 だが、

「――いやあっ!!」

ナイトを見るなりミュウは悲鳴を上げてメアリにしがみ付いた。

……!?

ナイトもメアリも驚いて、一瞬動きを止める。

ミュウは顔色を悪くして震えていた。

「あ……ごめんなさい、ナイト……。 えと、こわい夢みて……びっくりして……」

ミュウにはナイトの姿が、夢で見た真っ白な少年とダブって見えてしまっていた――。

…………。

……メアリは、見てしまった……。

ナイトの絶望の表情を――。

――――。

……三人の間に不穏な空気が流れる。

こんなことは初めてだった。胸の中を嫌な予感が過ぎり止まらない。

いや、もしかすると気づかないふりをしていただけで、ずっと心の何処かで抱えていた思いかもしれなかった……。

と、そこに、

パラパラパラ……と、頭上から砂の粒が落ちてきた。

見上げると、天井に亀裂が入っていた。

かと思うと、地面が激しく音を立てて揺れ出した。壁にもヒビが入り始める。

「マジかよ……まずいな、こりゃあ……」 メアリは頭を押さえた。

どうやら今は考えている余裕は無いらしい。

「崩れるぞ!!」

三人は逃げるように、急いでその場から駆け出した。

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