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闇王子と人形姫の不思議な鏡迷宮【夢現零時】

これは、いつか何処かでこっそりと起きていた、誰にも言えない秘密の【夢物語り】……。



――ここは外の世界から絶対的に光を遮断された、真っ暗な部屋の中。

ベッドの上。 銀の髪の病的な、驚くほどの真っ白な体の少年。

生命の無い壊れた人形のように、脚を投げ出し首を傾けて光を失った瞳で、ただぼんやりと座っている。

その姿は、ミュウの夢の中に度々現れる少年と似ている……。

左手には小さな玩具の手鏡を掴んでいる。 すぐ傍に、古びて錆び煤けた柩型の黒い鞄が無造作に置かれている。

……どうやらこの世界では、この少年が主人公らしい。

一瞬、手鏡が瞬いたように思えた。

すると突如に部屋の中、ふわりと碧いマントを翻し、まるで幻のように、もうひとりの少年が現れた。

金の糸のように煌く髪、大きな蝶を模った美しい芸術品のようなマスクを顔に被り、

「お呼びですか? 王子様」

胸に手を添えて、舞いでも踊るかのように優雅に敬礼する。

目元は隠れているが、鼻筋と口元だけでも容姿のとても端麗な少年だということが窺えた。

真っ白なほうの少年は声も無く、ただただ驚いていた。

「ワタクシのことを、呼んだでしょう? 王子様♪」

手に掴んでいた手鏡を恐る恐る見る。 ――自分の姿が映っていなかった。

「おやぁ? 驚いて声も出ないというやつデスかぁ? むふふん♪」

誇らしげに胸を張る、金髪の仮面の少年。 左脚を患っているのかステッキを片手に立っている、が

それさえもどこか高貴な風格が漂って見えた。

また、白い少年のほうも右脚が不自由だった。

「お手をどうぞ、王子様?」

天使のように優しく微笑み、手を差し伸べてくる。 碧いマントが揺れ、首から提げている金の懐中時計が輝く。

白い少年は思った。自分は王子様などと呼ばれるような人間ではない。

ボロボロのパジャマ姿のうえに、体中傷付いて包帯だらけだった。

むしろ王子様と呼ばれるのは、目の前にいる彼のほうなのではないだろうか……?

「いいえ、貴方は王子様ですよ」

言われて、少年は驚いた。

目の前にたたずんでいる美しい仮面の少年が、ニヤリと唇を曲げる。 何故なら、

――「貴方は【ワタクシ】なのデスから」

瞬間、世界が歪み、鏡にヒビが入ったかのような錯覚を感じた……。

……ずっと憧れ続けてきた、夢の世界の王子様の姿のような自分が今、そこに在るのだ……。

「願いの言葉をどうぞ、王子様」

再び手を差し出してくる。それは右手だった。

少年は導かれるように白い腕を、左手を、仮面の少年へとゆっくりと伸ばす。 

ほんの少しだけ、躊躇する。けれどもう自分には考えている余裕などなかった……ただ、早くこんな世界から解放されたかった……。

願いは言わなくとも、もう伝わっていた。

指と指が、ぷつりと触れる。目の前に見えない壁のような物を感じる。 まるで鏡を見つめているかのように。

それを乗り越えて、ふたりの少年はしっかりと右手と左手を握り、繋いだ。

仮面の少年が天使のように微笑む。

「その願い、貴方のおおせのままに……」

白い少年の瞳から一筋の涙が零れた。それは最後の軌跡だった。

……ただ、一言だけ呟いた。



「【神様】……」

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